2026/01/16
HUDSON コルトM1917【Vintage Model-gun Collection No.36】

Gun Professionals 2015年3月号に掲載

価格を抑えるため省略が多かったモデルガンのリボルバーが、実銃のメカニズムをしっかりと再現し始めるのは1975~1976年頃からだ。他社がマグナムリボルバーばかりを手掛ける中、ハドソンは第一次世界大戦で使われたクラシックなコルトM1917をリアルに再現してファンを驚かせた。

右:後期のスプリング内蔵慣性発火式カートリッジ。国際が有名だが、もともとこの形式は六人部さんがCMCのSAA用に考案したもの。
諸元
メーカー:ハドソン産業
名称:
コルトリボルバーM1917 Cal.45(パッケージ、取説での表記)
コルト45 M1917アーミーリボルバー(広告での表記)
主材質:亜鉛合金
発火機構:シリンダー内前撃針
撃発機構:シングル/ダブルアクション ハンマー
カートリッジ:インナーロッドタイプ(のちにスプリング式可動タイプ)
使用火薬:平玉紙火薬1粒
全長:273mm
重量:1,133g
口径:.45ACP
装弾数:6発
発売年:1977(昭和52)年
発売当時価格:¥8,500(カートリッジ6発付き)
オプション:カートリッジ1発¥130、クルミ材木製グリップ¥2,200、グリップアダプター¥300
※smG規格(1977年)以前の模擬銃器(金属製モデルガン)は売買禁止。違反すると1年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。(2025年現在)
※1971年の第一次モデルガン法規制(改正銃刀法)以降に販売されためっきモデルガンであっても、経年変化等によって金色が大幅に取れたものは銀色と判断されて規制の対象となることがあります。その場合はクリアー・イエロー等を吹きつけるなどの処置が必要です。
※全長や重量などのデータは発売当初のメーカー発表によるものです。また価格は発売当時のものです。
モデルガンは高級玩具だった。もともとは大人向けのもので、非常に高価。1960年代前半のころは、ブームといっても買える人は限られていた。何挺もコレクションしているような人は、お金持ちばかりで、庶民の子供は巻玉テッポーや銀玉テッポー、または水テッポーなどだった。我が家の場合は水テッポーもむずかしく、QPマヨネーズの空き容器を使い、赤いキャップに針で穴を開けて代用したりしていたが……。
これがやがて誰でも買えるように価格が下がっていき(というか、収入の増加や物価の上昇があっても価格がほとんど変わらず)、中学生くらいでもお小遣いを貯めればなんとか買えるようになってきて、またブームが起きるわけだ。
当初は実銃の資料がなく手探り状態で設計することもあったそうだが、次第に外観などがリアルになっていく中、価格を下げる(上げない)ために、内部のメカニズムなどはあえて省略されることも多かった。
そうしてファン層が広がり、数も倍増していくに従って、今度は逆に省略のないよりリアルなものが求められていくことになる。モデルガンに限らず、趣味のものは大体そういう傾向があるようだ。片方で低価格のジュニアモデルが生まれ、また一方で限定生産の超高級カスタムモデルも作られるようになっていく。
リボルバーに関しては、シングルアクションのものはメカが単純なのであまり省略されることはないが、ダブルアクションは高い精度が必要で製造がむずかしいこともあり、量産モデルでは省略されるか似たような単純メカに置き換えられることが多かった。
これが変わってくるのが、1975年のMGC製コルト ローマン/トルーパーの発売あたりからのようだ。ファイアリングピンがフレーム側にあることもあり、セフティコネクターが再現され、トリガーを引き切った時だけ撃発が起るようになっていた。MGCはこれを「ニューメカニズム」として売りの1つにしていた。
一方、同じ年に発売された国際のコンバットマグナムや、CMCのニューチーフなどは、トリガーを引き切った時だけハンマーノーズが飛び出し、トリガーをもどすと引っ込むリバウンド機構は再現していたものの、これは他社のモダンリボルバーも一緒。ただ、安全機構としてのハンマーブロックを省略するのが当時の当たり前だった。MGCがプラスチックの黒い肌とともにメカを売りにしたことから流れが変わったようだ。
CMCが1976年に発売したS&W M27とM29の金属製モデルガンは本格的なメカニズムで、ちゃんとハンマーブロックが入れられていた。
この流れのなかでハドソンの1977年の新製品、コルトM1917も発売されるわけで、大ブームだったマグナムと違い地味なリボルバーのセールスポイントとしてはやはり「フルメカ、フル機能」にしなければならなかったのだろう。
CMCのS&W M27とM29も、ハドソンのM1917も、どちらも原型を手掛けたのは六人部登さんだと言われている。基本的にCMC製品は六人部さんがずっと手掛けてきているし、M1917に関してはボクが直接、六人部さんから伺っているので間違いない。やはり六人部さんは流れを読んでいたのだろうし、MGCモダンリボルバーの「フルメカ、フル機能」にライバル心を燃やしたということもあるのかもしれない。
このハドソン製M1917に関しては、かつてGun誌の2003年2月号で採り上げている。そして2002年の11月中旬ころに直接、六人部さんに電話インタビューした。
残念ながら当時はまだ録音をしておらず、記録が残っていない。12年ほど前のことでもありハッキリ覚えていないが、六人部さん自身そんなに好きな銃ではないということで、強く記憶に残っていなかったようだ。ハドソンの当時の社長と話をしていて、流れで決まったらしい。ハドソンは前年に売れセンのブラックホークやS&W・M41オートなどを作っており、そろそろ流行を追うのではなく独自路線を行きたいという気持ちがあったようだ。
考えてみればM1917は発売当時、ちょうど誕生60周年という年にあたる。その意味でもモデル化にはちょうど良かった。
12年前の記事でボクは勘違いをしていた。「リバウンドのみが再現されていなかった」と書いてしまったのだが、大きな間違い。ここでお詫びして訂正したい。そんなことはなく、ちゃんと再現されていた。
これはボクがなんとなくMGCのオフィシャルポリスと同じ括りでM1917を捉えていて、六人部さんに「リバウンドを省略されたのはコストダウンのためですよね」などと誘導尋問のように聞いてしまったため、M1917の印象が薄かった六人部さんも、つい「そうですね」と答えてしまわれたようだ。それでボクは自信を持って「リバウンドはない」と書いてしまった。
実際には、初めてほぼフルメカ、フル機能で実銃に忠実に作られたコルトのダブルアクション・リボルバーだったのだ。
六人部さんは土浦の自衛隊武器学校にあった同系銃(オフィサーズらしい)を参考にメカニズムを設計し、サイズは手元にあった実銃用のハーフムーン・クリップから割り出して、原型を作っていったという。
とにかく、ポジティブロック(セイフティとセイフティレバー、S&Wのハンマーブロック)まで再現されていたのは衝撃的だった。しかもオートマチック用の.45ACP弾をシリンダーに留めるためのハーフムーンクリップ、クレーンを固定するダブルスクリューのような固定方法、ハンマーやトリガー用のフレームのスタッドがすべて別部品でねじ込みになっているなど、コアなマニアでも喜びそうなスペック満載。しかも、今見るともの足りない気がするが、当時としてはMGCなどとは比べ物にならないほど美しい仕上げの金属モデル。ファンが飛びつかないはずがなかった。
弱点は精度。実銃に近づけて作るほどタイトな製造精度(公差)が必要になる。亜鉛合金で量産される金属製モデルガンでは、コストの問題もあってアバウトにならざるを得ない。勢いをつけて操作しないとシリンダーが完全に回り切らないなど、作動上の問題はあった。クレーンの固定にしても、今回、読者の方からお借りした4挺ともばらばらで、カスタムモデルのようにピッタリはまるものもあれば、完全に収まった状態でもすき間が空くものなど、さまざまだった。そして金属モデルは発火させたときガスが抜けないため、銃身とシリンダーの間に大きめのすき間を設けなければならなかった。
それでも、当時は驚きを持ってファンに受け入れられ、派手さはないがじわりとヒットになって行った。日付の打刻があるモデルを見ると、短期間の間にロットが重ねられていたらしいことがわかる。ボクも飛びついた記憶がある。
量産の金属製モデルガンで、初めてフルメカ、フル機能で作られたコルト ダブルアクションリボルバー。おそらく、クオリティの高い亜鉛合金材を使い、ていねいに仕上げをして24金めっきを施せば、現在の基準でも充分鑑賞に堪えるハイレベルなモデルガンになるのではないだろうか。ぜひ後世に残して欲しいエポックメイキングな1挺。
Text & Photos by くろがね ゆう
撮影協力:JB、吉實クリニック射的部 吉實 暁美 吉實 憲
Gun Professionals 2015年3月号に掲載
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