2025/09/22
Wilson Combat BERETTA 92A1 Custom

Gun Professionals 2017年9月号に掲載
ウィルソンコンバットがベレッタ92のカスタムパーツをリリースしたのが2014年、そして2016年にはベレッタ92G ブリガディア タクティカルがリリースされている。それを見て、手元にあったベレッタ92A1 のストックモデルをウィルソンコンバットに送ってカスタマイズして貰うことにした。目指したのは92の実戦型カスタムだ。
*それぞれの画像をクリックするとその画像だけを全画面表示に切り替えることができます。画面からはみ出して全体を見ることができない場合に、この機能をご利用ください。
カスタム ベレッタ
皆さんは、ガンのカスタマイズをどのようにお考えだろう。
私のスタンスは、昨今のスライド軽量化を筆頭とする“切った貼った”カスタムや、1911に多い“とにかくタイト”カスタムには少々うんざりだが、素性のいいガンに適材適所のカスタマイズなら大歓迎、といったところであろうか。
例えば…しつこいようだが、グロックを例にとってみよう。ファイティングガンとしてのグロックは、各ミリタリーやローエンフォースメントによってバトルプルーフされている上に、その人気がゆえにアフターマーケットのカスタムパーツがそれこそ山のように存在している。
パーツを変えるだけをカスタマイズと呼ぶかは別として、私の好みとしては、スライドのマイクロダットサイト用切り欠き、フロントセレーションを削ってもらい、サプレッサー用前後ハイサイト装着、グリップのリシェイプとスティップリング、そしてストレートトリガーを含むトリガージョブを熟練したガンスミスにお願いしたいところだ。願わくは、これにバースト社のオーバーサイズ銃身をフィットしてもらい、ねじを切ってSilencerCoかシュアファイアのサプレッサーを用意できれば、これはもうファイティングガンとしては完璧のぺキとなる。
まあ、カリフォルニア州に住んでいる限り、サプレッサーとスレッド入りバレルの所有はほぼ無理なので、前記のカスタムだけでも“良し”としたい。それなら500ドル以下でのカスタマイズが可能なのだ。
それはともかく、近来稀にみるツボにはまったカスタムガンにお目にかかったのは、昨年のことだった。それがウィルソン コンバット社からリリースされた“Wilson Combat 92G Brigadier Tactical”だ。それこそ痒いところに手が届くカスタマイズがあちこちに施してあるにもかかわらず、その価格は1,195ドルと、少し頑張れば手の届く範囲だ。まずはそのカスタムポイントを紹介しておく。
- 4.7インチ ステンレススティール・バレル w/リセスドクラウン
- ベレッタ92Gブリガディアスライド(各コーナーは面取り済み)
- M9A1フレーム(92A1スタイルトリガーガード)
- チェッカード前後フレームストラップ
- フレーム/スライド タイトフィッティング
- トリガープル チューニング
- トリジコン社製トリチウム ドブテールフロントサイト
- オーバーサイズド スティール マガジンリリース
- スティール デコッキングレバー
- 軽量ハンマー
- スティールトリガー
- ウィルソンコンバット社製U-ノッチバトルサイト
- ウィルソンコンバット社製フルーテッド ガイドロッド
- G10 オリジナル グリップパネル
- スライド ウィルソン コンバットロゴ
口径: 9mm Para
銃身長:4.9inch(125mm)
全高:5.4inch(137mm)
全長:8.5inch(217mm)
重量:33.3oz(945g)*写真のライトは別
ウェポンライトがしっくりくる。X300モデルはSIG社用に作られた限定グレーモデルだ。
なぜあのウィルソン コンバット社からカスタムベレッタが出るのか、不思議に思われる方も多いのではなかろうか。実は、ビル・ウィルソン氏のベレッタ好きは知る人ぞ知る事実で、彼が会長を務めるIDPA競技の初めての大会において、彼がベレッタ92モデルを使ったことは多くの人が知っている。さらに1997年のナショナルチャンピオンシップでは、彼は同じく92シリーズを使って“ストック サービスピストル ディビジョンでマスタークラス”の2位に輝いているほどなのだ。
では、どうやってこのウィルソンコンバットとベレッタのコラボレーションともいえる“92Gブリガディアタクティカル”が生まれたかというと、ビルの友人であり、ベレッタシューティングチームの一員でもあったウィル・ファネル氏と、ベレッタチューナー/トレーナーとしても有名なアーネスト・ラングドン氏との〝理想の92談義”がすべての始まりだったようだ。ビルの本気度が、ベレッタUSA社を動かし、このコラボレーションからウィルソン コンバット社からのみの“92Gブリガディア タクティカル”限定リリースとなったのだ。
ただし、お断りしなければならないが、今回の記事で紹介するのは、この限定リリース版ではない。1,000挺限定といわれるウィルソンコンバットカスタムは、カリフォルニア州内では登録許可リストには載っておらず、幻のカスタムとなってしまっているのだ。
そこでベレッタのヘビーユーザーである私の友人は、ウィルソン コンバットにベレッタ92A1を送り付け、出来うる限りのカスタマイズをお願いした、という次第なのだ。よって特徴的なブリガディアスライドとステンレスバレルではなく、92A1のものをそのままカスタムして使用している。あと、92Gシリーズの特徴である、スライドのデコッキングレバーがセイフティとして機能しない(デコックはするが、シグ社のP22xシリーズのようにスプリングテンションで元に戻る)という仕様にはなっていない(通常の92シリーズと同様、レバーを押し下げた状態でセイフティとして働く)。
今回は他にも、参考として彼の所有する92FとM9A1競技用カスタム、そして96Steel Iというリミテッドエディションのレアモデルにも登場してもらっている。
Caliber:.40 S&W
Barrel length:4.7”
鉄製フレームはずっしりと重い。


