2025/09/25
キンバーK6s 357マグナム6連発のスナッビー

Gun Professionals 2018年4月号に掲載
Yonkers, NY
ニューヨーク州は、全米屈指のガンコントロール州として有名だ。その厳しさは半端ないらしく、2013年にはお隣りのコネチカット州で起きた小学校乱射事件を受けてさらに強化もされて、もはや一般市民が銃を所持することは不可能なんじゃないかくらいに、自分は勝手に想像していた。
しかし、それはどうやら間違いらしい。
昨年、ebayを通じて現地の日本人と知り合いになり、彼に色々聞いたところでは、市民でも手続きさえ踏めば所持は出来るという。ただその手続きと言うのが、想像以上に手間も時間も掛かるものらしいのだ。
ニューヨーク州で銃を所持したい人は、ガンショップ等へ行き、買いたい銃を決めて、買う。そう、先ず買うのだ。その際、購入者が銃に触れることは許されず、コンディション等を直にチェックすることは出来ない。目で見るだけで決めねばならない。それが済んだら、次にNRA公認の銃器取り扱いクラスを受けて修了の証明書を取る。その証明書と、ガンショップのレシートおよび銃の登録申請書をまとめ、さらに身元を保証してくれる4名の推薦人の名前を集めて、それらを拳銃所持ライセンスのアプリケーションフォームに添付してカウンティーオフィスへ提出する。カウンティは書類を審査し、最終的には身辺調査のため刑事が家にまで確認にくる。そして申請にOKが出るとカウンティーオフィスへ呼び出され、指紋を採取後、正式にライセンスが発行されて、そこから銃を買ったガンショップへ移動し、受け取りにサインをして初めて銃の所有者になるという流れだ。一連の手続きに要する時間は、なんと6~8ヵ月くらいになるという。
えらいこっちゃである。日本でショットガンを所持するよりも厳しいくらいじゃなかろうか。銃をショップで買ってから、手元に来るまで半年以上待つだなんて、熱も冷めるというものだろう(同じ州内でも地区によって多少時間の長短あり)。ただ、1挺め購入の際に拳銃所持ライセンスは下りているので、2挺めからはショップのレシートと銃の登録申請書の提出のみでよく、待ち時間も4~6週間に短縮されるということだが…それでもやっぱり長い。
これが筆者が住むイリノイなら、最初に州警察が発行するFOIDカード(銃器所持者証明証。犯罪歴等が無ければ1 ヵ月で容易に下りる)さえ取れば、ショップでも自由に銃に触れられるし売り買いに関しても登録と待ち時間の3日間をこなせばOKとなる。あの悪名高きカリフォルニアでさえ、ガンショップでFSCカード(銃器安全取り扱い証明証。簡単な試験に受かれば店頭で即日交付)を取ってしまえば、あとは登録の10日間を待つだけで銃は買えるし、実はそのカードが無くても、銃には触り放題で弾も勝手に入手出来たりするのだ。
やはりニューヨークは、厳し過ぎる。間違ってもあの州への引越しは遠慮したい気分だ。
えっ? なんでまたニューヨークの話を延々するのかって?
それはね、そのニューヨーク州在住の知り合いが、毎日マンハッタンの仕事場へ郊外から電車で通ってるんだけど、ハドソン川沿いを走るその電車の車窓から、ヨンカーズという街が見えるそうなんですよ。そのヨンカーズに、キンバーの本社があるんですね。そこへ話を持って行きたかったわけなんですわ。
キンバー
ということで、前置きが長くなってしまったが、今回のネタはキンバーだ。2016年のSHOT SHOWで突如発表された同社初のリボルバー、K6sである。
キンバーの銃は、旧Gun誌時代に1911系を3回ほどリポートしている。正直、最初のリポートの時は、「キンバーってどうよ?」くらいの浅い知識しか筆者にはなく、また世間一般の知名度も今ほどではなかった。それが、アッという間に超有名になってしまった。
キンバーの創業は1979年だ。元々は.22口径のライフルなどを造っていたメーカーだが、それが95年頃から1911の世界へ進出。MIM工法を駆使したパーツでコストを抑え、エキストラクターやらインナーセイフティに独自のアイデアを盛り込むなどして造り上げた製品がヒットした。その後はカットダウンモデルからコルトで言うところのマスタング系の380口径タイプまで一通り網羅して、今や1911のコピーでは高級ブランドの部類に入ってるのだから偉いというか、やっぱり1911絡みは当たるとスゴイ。
そんなガバメント命のキンバーが、いきなり畑違いのホイールガンを売り出したもんだから皆驚いたのだ。オート全盛の今、S&WやらRUGER、あるいはコルト以外の新種のDAリボルバーが出てくるとは、お釈迦様でも気が付かなかったくらいのもの。インパクトの面では、昨年のコルトのニューコブラよりも強かったように思う。
無論、リボルバー党の自分としては、当初から興味は津々。しかし、899ドルという超強気な価格設定(グロックが2挺買えます)にビビってずっと手を出せずにいた。
それが今回、ようやく買えたのだ。昨年11月の感謝祭の翌日、行きつけのガンショップのいわゆるブラックフライデーのセールを狙った。初期製品の売れ残りということで、店頭価格はずいぶん低めの705ドル。その10%オフに加えて、近くのレンジの1時間タダ券(15ドル相当)のオマケ付きでゲットだ。残り物には結構福があった。
ついでに書くと、ゲットしたK6sはNRA エディションといって、一応限定品だ。シリアルの頭にNRAのイニシャルが入る1,145挺の内の1挺。取り分け珍しいものではないが、微妙にチョッピリ少しだけ優越感である。


