2025/09/30
ZEV OZ9 V2 COMBAT モジュラーフレームコンバットピストル

ZEVテクノロジーズのOZ9は単なるグロッククローンではない。グロックに先んじて、独自のモジュラーフレームを実現させると共に、さらなる改良を加え、個々のパーツ品質も大幅にアップさせている。それはグロックを超えたハイエンドパフォーマンスモデルというべき存在なのだ。
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グロッククローン
1982年にグロックが登場した時点では、ポリマーフレームの奇妙なピストルが登場したと、冷ややかな目で見ていた欧米の各銃器会社は、その後にグロックが米国市場を席捲し始めるのを目の当たりにした。そうなった以上、対応を講じなければならない。そこで90年代以降、ポリマーフレームを採用した自社製ピストルを発売する。しかし、そのどれもがグロックほどの性能は持ってはいなかった。
グロックに対抗するには、同じようなメカニズムを盛り込まなければならない。そのことに気付いたメーカーは、グロックに似たモデルを製品化し始める。グロックの普及開始から約40年が経過する現在、各社のラインナップを見ると、多少の違いを持たせながらもポリマーフレーム、ストライカーファイア、多弾倉マガジンを持つグロック的な9mmオートを主力製品としている状態だ。
グロックの主だったパテントが期限切れとなった今では、グロックのパーツをそのまま流用できるほどに似た、すなわち寸法まで同じにしたクローンが複数のメーカーから登場している。大手メーカーの中では、スタームルガーのRXMはモジュラーフレームの部分がオリジナルのグロックとは異なるが、それ以外は完全にグロックGen3そのものだ。他にもシャドウシステムズやPSAのダガーシリーズなど、数多くのメーカーがグロックよりも低価格で、近い性能の物を提供している。
ZEV OZ9
そんなグロッククローン勢の中でも、逆にハイエンド向けのシリアスな作りで成功を収めているのがZEVのOZ9シリーズだ。ZEV Technologies(ゼブテクノロジーズ)は2006年にカリフォルニア州オックスナードで設立されたグロック用ハイエンドカスタムパーツメーカーで、かつてはGlockWorksと呼ばれていた時代もある。そんなZEVが、2019年に発表したOZ9は、グロックよりも優れたトリガー、グリップ、スライドデザインを備えたハイエンドモデルだ。
OZ9は2023年の改良を加えられて現在のV2となり、複数のバリエーションをカタログに揃えている。OZ9シリーズに共通するのは、グロックにない特徴であるモジュラーフレームだ。現在ではSIG SAUER P320によって一般的となったモジュラーフレームデザインであるが、ZEVの場合もユーザーが簡単にグリップモジュールと銃フレーム本体を分割する事が出来、異なるサイズとデザインを持つグリップモジュールと自在に組み合わせることが可能な自由度が得られる。
今回は最新のOZ9 V2シリーズの中から、特にデューティー向け(警察向け)としてデザインされたOZ9 V2コンバットを紹介したい。
GP Web Editor補足;ZEVテクノロジーズは2024年7月11日、Silencer Coにより買収されることが発表された。これによりZEVは既存のOEM事業から撤退し、Silencer CoのブランドとしてOZ9やMAGPULと共同開発した折り畳み式のFolding Defensive Carbine (FDC)などの製品展開を活発化されていくことになる。
OZ9には、コンパクトとフルサイズ、そしてコンパクトXの3種類がラインナップされている。いずれもP320と同様に、シャーシ部分を中心としてグリップモジュールとスライドを自由に組み合わせられるモジューラーシステムを採用したものだ。
写真は左がフルサイズ、右がコンパクトだ。フルサイズのグリップモジュールはフルサイズXグリップと呼ばれる。一方コンパクトは、コンパクトスライドと短いコンパクトグリップモジュールが付く。
これを組み合わせる場合、フルサイズとコンパクトに加えて、コンパクトスライドとフルサイズのXグリップを組み合わせたコンパクトXというもう一つの選択肢が生まれる。これで3種類だ。もちろんフルサイズスライドとコンパクトフレームの組み合わせも可能だが、あまり現実的ではない。


ZEV OZ9 V2 COMBAT
口径:9×19mm
全長:204mm
全高:141mm
全幅:41.2mm
バレル長;4.49” (114mm)
重量:794g
マガジン装弾数:17発(MAGPUL PMAG17 GL9を使用)
トリガープル:4.15lbs (1,882g)
アルミ製のZEV PRO Curved Face Trigger付きで、扱いやすいサイズに大型化されたスライドストップやマガジンキャッチは、ZEVがグロック用カスタムパーツメーカーとして培ってきた経験が生かされている。ちなみにZEV創業時の最初の製品は、グロック用ドロップインカスタムトリガーだった。


