2025/09/29
FN タクティカル ポリス ショットガン TPS【動画あり】


FNブランドのタクティカルショットガンがTPSだ。中身はFNの子会社であるウインチェスターのポンプアクション1300だと言ってしまうと身も蓋もないが、M16を彷彿させるパーツを配置し、ド派手な雰囲気を演出している。ポリスがこれを持っているだけで、犯罪者はビビってしまう…かもしれない。そんなTPSを衝動買いしてしまった。
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タクティカルなショットガン
世の中には、自分を興奮のるつぼへ突き落としてくれる銃がまだまだたくさんあるようだ(この表現、以前も使いましたっけ?)。
今ご覧のショットガンなどはその最たる例と言えそう。
いつものように、ARMSLISTで発見だ。掲載写真を見た瞬間、電気ビリビリの一目惚れ。魔法にかかったみたいになっちゃった。
この、M16のようでM16じゃない、何ともエキセントリックな姿はどうだ。自分は一瞬、映画『猿の惑星』(Planet of the Apes:1968)に出て来た、猿が使う妙なライフルを思い出してしまった(似ても似つかないけど…)。
リアサイトもまたM16A2そのもの。仰々しい丸ノブが左右調整、水平ダイヤルが上下調整だ。ピープの穴径は二種を選べる。
メーカーはFN、モデル名はTPS=Tactical Police Shotgunという。
売り主の説明文にはこうあった。
「この銃はポリス向けに開発されたショットガンです。ARのプラットフォームで訓練を受けたオフィサーでも狙いやすく、扱いやすいよう設計されています。警察からのオーダーが終了後、残ったパーツをFNが組み上げ、200挺がAtlantic Arms へ売却されました。ポリス用に短かったバレルは、一般への販売が可能なよう溶接で延長されており、SBRの規定はクリアしています。バレルに“P”の刻印があり、コレが正真正銘ポリス用の証です。とてもレアな一挺です」
ポリス向けのポリス仕様、しかもたったの200挺限定となれば、官給&レア物好きの自分は即ノックアウトだ。オマケにこのストレンジなルックス…もう、どうにもたまらない。
お値段は450ドルという。直感として、高くないと思った。売り主も「Real Deal(超お買い得)」と書いている。自分はネットをリサーチする間も惜しく、一切値切りもせずに即決。物凄く遠方(車で片道3時間以上のNorwood)を脇目も振らず突っ走ってゲットした。程度上々、期待を裏切らない稀有な雰囲気も濃くあって、嬉しかったねー。そして、自宅に帰って早速リサーチを開始したのは言うまでもない。
FNのショットガンに触れたのは、この時が初めてだった。
自分は過去に、有名処のショットガン、例えばレミントンにウインチェスター、イサカにモスバーグそしてベレッタくらいまでは一応撃ったし所持するものもある。けれどFN製にはとんとご縁が無かった。
調べてみると、FNがタクティカルショットガンの分野に進出したのは、割と最近の事らしい(ショットガンとしては名作ブラウニング AUTO 5とか、ブラウニング スーパーポーズドなどいろいろ製造してきた)。
FNのポリスショットガン
ベルギーのFNは、昔からローエンフォースメント御用達の銃器を数多く作り上げてきた。古くはモデル1910にハイパワー、近年のP90やらFN57、さらに.338 Lapua Sniper等のプレシジョンライフルやらと、その幅は広い。
しかし、なぜかポリス向けのポンプ式ショットガンに関しては、長年すっぽり抜けていた。特にポンプアクションは実績ゼロ(ブラウニングブランドのBPSがあるけど、あればMIROKU製で、さらに完全な民生用)。ローエンフォースメントの現場では、今なお旧来のポンプ式が割と幅を利かせている。天候その他様々な状況下でも確実に作動するポンプ式。ジャキーンと轟くポンプ音の威圧効果も絶大だ。
ただ、今さら旧来のショットガンを一から設計するのはかったるい。それよりも、すでに存在するデザインの改良なら時間も掛からず安全確実、とFNは考えた。そこで1990年頃からずっと子会社としていたU.S. Repeating Arms、 つまりウインチェスターが製造するモデル1300ディフェンダーショットガンの改良型を開発。2000年代の初頭(手元の資料では2003年)にTPSの名称で売り出した。バックグラウンドはこんな感じだ。
この形態ならウインチェスターの販売網をフルに生かせる。取り分け、新たに法執行系デパートメントと納入契約を結ぶのは難しい。訓練やら部品調達の便から長期契約が多いからだ。その点、銃の構造が変わらないから、既にウインチェスターと繋がりのあるデパートメントへすんなり潜り込めたり、後を引き継いだりが容易に可能というワケである。
元になったウインチェスターのモデル1300ディフェンダーは、1981年から2006年まで製造の非常にポピュラーなショットガンだ。素早いフォローアップシュートが可能なSpeed Pump Actionが有名で、回転式ボルトの構造も特徴とされる。
ウインチェスターのポンプといえば、いにしえのモデル1897が先ず有名だが、同社のモダンショットガンとなると1912年のモデル12が始祖。その後、モデル12をレミントンの870やモスバーグの500に対抗すべく軽量および簡素化したモデル1200を1964年に出し、それをさらに発展させたのがモデル1300の流れだ。
自分は基本、古い銃にどうしても趣向が傾き、それはショットガンも同じ。だから新しめのFN製には接点が薄かった模様である。
なお、このTPSを買ったのは割と前、23年の夏だ。以来、たまにナイロンケースから出して眺めるのみの死蔵状態。射場へは一度も持ち込んでいない。
えっ?なんで今まで記事にしなかったのかって?まあね。長物はガタイがデカい分、室内撮りが大変でさ。自分の撮影セッティングでは光がうまく回らなくていつも苦労するから敬遠気味。
それと実射もね。ハンドガンとは勝手が全然違う。おまけに自分は一人撮影だしさ。なのでついつい後回しにしていたのが、今月はネタに詰まってとうとうお披露目になったという次第です。


