2025/10/10
G48 GLOCK ニュースリムライン

Gun Professionals 2019年11月号に掲載
2019年1月に発表されたグロックのG48とG43Xは、保持しやすさと携行性を考慮してデザインされた9×19mmのハンドガンだ。どちらも、民間のコンシールドキャリーガンのみならず、私服オフィサー用のデューティサイドアームとしても普及しつつある。
マガジン互換性の功罪
ポリマーフレームハンドガンの代名詞ともいえるグロックピストルは、米国LE機関用サイドアームにおいて2/3のシェアを誇るといわれている。各口径のフルサイズ/コンパクトサイズのデューティピストルから派生した全長/全高を切りつめたサブコンパクトサイズが用意されていることも、LE機関のニーズに即したメリットだ。9×19mmのG26、.40 S&WのG27、.357 SIGのG33、10mmオートのG29/G29SF、.45 GAPのG39、.45 ACPのG30/G30SF/G30Sには、それぞれの口径を使用するフルサイズまたはコンパクトサイズのマガジンを使用できることから、オンデューティ時のバックアップガンとして人気がある。その一方で、全幅はフルサイズやコンパクトサイズと大差なく、体格によっては秘匿携行しづらいというジレンマがあった。グロックのマガジンはメタルインサートに合成樹脂製の外被を組み合わせた独自の構造で、他社製品のようなプレス加工の金属製マガジンよりも幅があることから、グリップエリア薄型化に関しては明らかに不利だ。とはいえ、従来型マガジンと異なる金属製マガジンを採用してまでグリップをスリムにする必要は認められなかったのであろう。
そんなわけで、グロックピストルのスリム化はなかば絶望視されていたのだが、1999年に発表されたG36は、完全新規デザインのマガジンを採用することで状況を打開した。口径は.45 ACP、グロック初のシングルスタックマガジンを採用したサブコンパクトモデルで、6発というマガジン装弾数はリボルバー並みに少ないが、ファイアーパワーと既存マガジンとの互換性と引き換えにスリム化を達成させた潔さは特筆に値する。

スリムラインシリーズ
秘匿携行性を重視してデザインされたG36は、明確なコンセプトをもつ同社スリムラインシリーズの先駆けとなったが、その後しばらくはシリーズ唯一の存在であった。次作が発表されたのは2014年のことで、ディフェンシブガンではミニマムパワーと考えられている.380 ACPを使用するG42は、現在でもグロック最小のキャリーガンだ。銃身長は3.25インチ、シングルスタックのマガジン装弾数は6発で、発売直後から大ヒットとなった。小型軽量で幅も薄く、フロントポケットに入れて携行することも可能だ。しかしながら.380 ACPではパワー不足という意見もあり、9×19mm版を求める声も多かった。翌年の2015年に発表されたG43は、G42を若干大型化させて9×19mmに対応させたスリムなサブコンパクトサイズで、G42に勝るとも劣らない大ヒット製品となり、9mmコンシールドキャリーガンの代表的存在となって現在に至る。
小型でスリムなG43は、体格によってはポケットホルスターでの携行も可能ではあるが、6発という装弾数に不満を感じる声もあった。ひとつの要望を満たせば別の不満が発生するというのは、万能なハンドガンなど作り出せないという現実をよく表している。それでもグロックは、この難題に真剣に取り組んだ。
G43をベースにフレームとマガジンを若干大型化させ、装弾数を10発に増加させた新型はG43Xと命名され、同じフレームに4.17インチ銃身のトップエンドを組み合わせたものはG48と命名された。この2種は2019年1月のSHOT SHOWで発表されたスリムラインシリーズの新製品で、本誌では2019年5月号でSoga氏がいち早く紹介されていたことは記憶にあたらしい。前述のとおり、G43XとG48のフレームとマガジンは同じサイズだがトップエンドのサイズが異なり、前者の銃身長が3.41インチであることに対し、後者は4.17インチとなっている。
G48/G43X用の10連マガジンは新規デザインで、セミダブルスタックともいえる形状のためにG43用よりも幅があり、G17/G19用よりも薄いため、どのモデルとも互換性はない。これは、シングルスタックマガジンを採用することで大幅なスリム化を達成したG36やG43の潔さを彷彿させる。
G48はもちろん、G43Xでもフロントポケット内で携行するには少々大き過ぎるが、IWB(インサイド・ザ・ウェイストバンド)ホルスターでの携行に適しており、ダブルスタックマガジンをもつG19よりも携行しやすく、カバーガーメント(上着)への張り出しも少ない。
G43X / G48では、フレームタングの張り出し(ビーバーテイル)がG43並みに大きくなっている。
こちらでは、グロックピストルの中からコンシールドキャリー用として人気のある数種と、G48のバリエーションを紹介しよう



