装備

2021/10/23

プロは使う道具も超一流! 自衛隊流・装具のススメ

 

 陸上自衛隊、特に普通科に所属する隊員は支給される装具のほか、自ら購入した私物装備品を使用することも多い。プロフェッショナルとしての経験や知識を活用して選別された装備品は、いずれも優れた実用性を誇るものばかりだ。今回は、元陸上自衛官であるタクティカルインストラクター・武藤竜馬氏をモデルに迎え、プロの目線から選ばれた装備品の数々を紹介しよう。

 


 

優れた小銃には優れた照準器具を ドットサイト+3倍率マグニファイアの提案

 

 

 新型20式小銃には国産小銃として初めてピカティニーレールが標準装備され、さまざまな照準器具が搭載可能となる。銃や弾薬の基本性能をさらに跳躍させるためには、正確で狙いやすい照準器具が不可欠だ。近接戦闘射撃ではドットサイトが圧倒的に速く狙えるが、50m以上の射距離となると頼りない。そこで“もう少し遠くを狙いたい”という要望に応えるのがマグニファイア(ブースター)だ。倍率は3倍で、スイング式のマウントによりすぐに望遠とドットサイトを切りかえられるので、急な至近距離戦闘にも対応できる。一見すると光学機器のタンデムは複雑そうだが、実際に使うと分かりやすいシステムとも言える。

 


 

VMX-3T Magnifier

 

射手側にあるマグニファイアを片手で傾け、銃口側のドットサイトで照準。わずか1秒足らずで照準距離に合うセッティングができる

 

  • 価格:¥41,800
  • 仕様:3倍率/チューブ径30mm/アイレリーフ約56mm/完全防水
  • 重量:337g
  • 問い合わせ先:サイトロンジャパン 

 


 

VORTEX STRIKEFIREII

 

 

  • 価格:¥40,700 
  • 仕様:1倍率、対物30mm/クリック1/2MOA/完全防水 
  • ドット色:赤緑切替
  • 重量:204g
  • 電池:CR2
  • 問い合わせ先:サイトロンジャパン

 

 


 

高性能タクティカルライト

 

Elzetta B133 850ルーメン STDベゼル

 

米空軍での採用実績があるMade in the USAのタクティカルライト。6061アルミ製の耐衝撃ボディを持ち、操作音が小さいサイレントクリックスイッチ(押してon/off 、回してhigh/low切替)を採用している(レールマウントは別売、参考品)

 

  • 価格:¥33,180
  • 長さ:140mm
  • 重量:約178g
  • 明るさ:850ルーメン
  • 電池:CR123A(3個)
  • 問:ez-lite

 


 

タクティカルな単眼鏡という選択

 

VORTEX 単眼鏡 RECCE PRO HD8X32

 

反射を抑えて透過率を向上させ光を通すXRフリーマルチコートを施し、HDガラスを採用することでクリアで高精細な像を実現。アルゴンガスを内封し温度変化にも広範囲に対応しレンズ用とレティクル用のそれぞれにフォーカス機能を装備

 

0.5刻みのミルスケールにより精密な距離計算ができるほか、人型レティクルスケールにより200m、300m、400m、500m、600mとおおよその距離を判別できる

 

ポーチから単眼鏡を出して前方警戒中のレンジャー隊員。大型双眼鏡では重すぎて…という現役隊員も多く、軽量ながら軍用に徹した機能のRECCE PROは偵察任務では役立つ相棒となるはずだ。ゴム製アイピースや前後ダストカバーも使いやすいデザインになっている

 

  • 価格:¥71,500
  • 仕様:8倍率/対物レンズ32mm/アイレリーフ14.5mm/レティクルRANGING/実視界7.6°、至近距離1.5m/完全防水
  • 全長:約157mm
  • 重量:312g
  • 問い合わせ先:サイトロンジャパン

 

 


 

タクティカルと作業性を両立した古くて新しい2点スリング

 

 素早く銃を撃つためのコンセプトがタクティカルなら、日常的な作業で銃が邪魔にならない操作性も重要で、みらい装備工房の開発した2点スリングは戦う機能と操作性を両立。ナイロン製アダプターを介して銃に装着するため、金属音を立てないのも好ましい。先端部にあるループ状のハンドルを引くことで長さを調整可能。オプションで銃身基部にスリングスイベルを設けるアダプターも用意され、野外から市街地までさまざまなシーンで89式小銃を操れるスリングだ。
 自衛官は日常的に資材を運搬したり陣地構築等の土木作業を行なうが、近年銃を携行したままそうした作業に従事するケースも増えている。ここでもやはり銃を操作しやすい方が疲れず作業も捗るわけで、スリングの操作性が重要となる。こうしたシンプルで操作しやすい2点式のタクティカルスリングが重宝されているのも、興味深い現象だ。

 

ミルスペックナイロンウェビング、アセタルラダーロックを用いたシンプルで軽量な2点式スリング。クイックリリース機能と1点式スリング機能を追加できる多目的付加部品も別売で用意

 

2点スリング

 

2点スリング用多目的付加部品

 


 

ライトホルダー

 

1インチ径のフラッシュライトを89式小銃に装着できるアダプター。銃とライトを傷つけず、しかも工具不要で簡単に装着できる

 

 



閉所戦闘用付加部品

 

ライトと干渉せずにスリング取付位置を手前にできるアダプター

 

 

みらい装備工房 2点スリング操作法

前方のハンドルをギュッと手前に引くと、同時にスリング長が短くなり身体にフィットし始める。この時に素早く銃を背中に回してストック側が肩付近まで上がってくれば、そのまましゃがんだ姿勢になっても銃口は接地しない。日常のさりげない作業の中でも、銃口管理を怠らず、銃を身体の一部のように取り扱う者こそがプロフェッショナルなのだ。

 

ハンドルを引くと同時に銃を背中に回す。ストックが肩回りまで上がってくるのが目安だ

 

こうすることで作業時にも銃口が地面に当たらなくなる

 


 

─私物装具の存在感─

 

 

 官給品の進化が目覚ましい時代でも、私物としてオリジナルブランド系の装具を使う自衛官は多い。官給品では不足する部分を私物で補うという風習は昭和の時代から存在したが、近年の傾向としては快適性や利便性を追求するのに留まらず、個人の戦闘能力を高めるために高機能な装具を求める人が増えている。これに応じてミルスペックの材料を採用し、日本国内で製造する装具メーカーが存在感を増し、さらに海外の有名タクティカルギアメーカーを積極的に紹介する商社にも注目が集まっている。こうした企業は、これからも多くの自衛官に支持されながら発展するだろう。

 

2人の格闘家によるデザーム(disarm)動画公開!

 

 今回モデルを務めてくださった武藤竜馬氏とアシダ ユウキ氏による近接戦闘のデモをアームズマガジン公式YouTubeチャンネルにて公開中。こちらも併せてお楽しみいただきたい。

 

 

 

武藤竜馬

 

タクティカルインストラクター、ガンアクションコーディネーター。元陸上自衛官。レンジャー課程修了、第1師団対ゲリラコマンド射撃教官を経て退職。現在は自衛官、警察官、警備業務従事者等に複合戦闘術の指導を行ない、アクション監督下村勇二氏と共に映画・TV作品、アニメ、ゲームのモーションキャプチャーのガンアクション演出を手掛けている。毎月、東京キャロルにて一般の門徒向けの講習も開催

 

アシダ ユウキ

 

坂口拓の2番弟子としてドラマ『レッドアイズ』、映画『東京リベンジャーズ』、『狂武蔵』、YouTube「たくちゃんねる」などに出演

 

TEXT:神崎 大/アームズマガジンウェブ編集部
モデル:武藤竜馬/アシダ ユウキ

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年10月号 P.78~91より抜粋・再編集したものです。