エアガン

2025/01/19

オヤジ世代はモデルガンでSMG(サブマシンガン)とBLK(ブローバック)を学んだ! chapter.03

 

オヤジ世代はモデルガンでSMG(サブマシンガン)とBLK(ブローバック)を学んだ!

 

 

 サブマシンガン(SMG)がどんなものか知らない人が多かった昭和の時代、それがタマをばらまくもので、連射の反動が「カイカン」であることを教えてくれたのはモデルガンだった。

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革新

 

 1981年、MGCはデトネーター方式ブローバックの頂点となるプラスチック製「イングラムM-11」サブマシンガンを発売する。


 ハンドガン並みのコンパクトサイズでありながら、ストックを伸ばせばしっかりサブマシンガンになり、大型のサウンド・サプレッサーも装着できる。快調作動で、さまざまな遊び方が可能なモデルガン。「1秒24連射」の広告の謳い文句どおり、超高速な連射が可能で、雑巾を引き裂くようなビリリリリリという撃発音は大評判となった。カートリッジのばらまきは、まさにシャワーのようだった。

 

MGC製イングラムM-11。耐衝撃性ABS樹脂製、1981年発売。キャップ火薬のデトネーター方式ブローバック。発売当時の価格は本体のみ16,000円、フル装備19,000円

 


 デトネーター方式はカートリッジがシンプルで価格も安く、折から発売された汚れの少ない革新的大発明、キャップ火薬のおかげもあって、ガンガン撃って遊ぶことができた。ジャングルスタイルで撃ちまくった人も多かったと思われる。あまりの快調さに高速連射を続けると、デトネーターが赤熱して光るとも言われた。

 

MGC製イングラムM-11用カートリッジ。インナー方式で、5mmキャップを使用し、1秒間24発の超高速連射を実現した


 多少話が前後するが、それよりちょっと前の1979年、マルシンは革命的新ブローバック方式、閉鎖系のPFCを搭載したモデルガンを発売した。金属製ハンドガンのウッズマンだ。最初はあまり注目されなかったもののそれが改良され、超快調なブローバック方式になったと広く世間に知られるようになったのは、1980年にプラスチック製でショートリコイル機構も擬似的に再現した「ワルサーP.38ショート・リコイル」を発売してから。

 

 その完成度の高さとブローバックの快調さにより、一気に多くのガンファンの支持を獲得し大ヒット。そして次々とPFCを搭載したオートマチックハンドガンが発売され、どれもがよく売れた。マルシンはたちまち業界トップに君臨していたMGCのライバルにのし上がった。


 そして、そのPFC方式を使った金属製のMP40を1981年に発売するが、これはあまり大きな話題にならなかった。というのも、ベースが既存のMP40だったからだ。


 そこで1984年に発売されたのが、完全新規設計となるPFC初のプラスチック製のサブマシンガン「ニューMP40」。ただ、当時、エアガンの台頭もあり、モデルガンが売れなくなっていたことから、少しでも買いやすい価格にするため組立キットでの発売が1つのトレンドとなっていた。それで、当初、ニューMP40は組立キットのみでの発売となってしまった。そのため完成度が高い決定版のようなMP40だったにもかかわらず、注目度は今ひとつだった。

 

マルシン製ニューMP40。耐衝撃性ABS樹脂製、1984年発売。キャップ火薬のPFC方式ブローバック。発売当初は組立キットのみで、価格は15,000円

 

 

マルシン製ニューMP40は、当初は組立キットのみでの発売だった

 

マルシン製ニューMP40用カートリッジ。現在のブローバックモデルガンの主流となっている閉鎖系、キャップ火薬のPFC方式


 同じ年やや遅れて、MGCも完全新規設計のプラスチック製サブマシンガンで初となる閉鎖系CP方式ブローバックを搭載した「ベレッタM-12S」を発売する。

 

MGC製ベレッタM-12S。耐衝撃性ABS樹脂製、1984年発売。キャップ火薬の閉鎖系CP方式ブローバック。発売当初はプラモデルキットのみで、価格は7,500円

 

MGC製ベレッタM-12S用CPカートリッジ。輸出がなかったことから、リアルサイズで作られた


 マルシンが組立キットでの発売だったのに対して、MGCは左右を貼り合わせて作る、いわゆるプラモデル=作るモデルガンで、なんとマルシンのニューMP40の半額近い価格設定。にもかかわらずトイガンの主流はエアガンに移っていたため、あまり注目を集めず、1989年にはガスガンに変更されてしまう。

 

タナカ製100式機関短銃。亜鉛合金製、1986年発売。キャップ火薬のPFC方式ブローバック。発売当時の価格は52,000円

 

タナカ製100式機関短銃用カートリッジ。閉鎖系、キャップ火薬のPFC方式


 そしておそらく、1991年にハドソンが発売したM3A1が、モデルガンのプラスチック製ブローバック・サブマシンガンの最後となってしまう。


 モデルガンの1つの時代が、M-3で始まり、M3A1で終わった。

 

ハドソン製US M3A1グリースガン。ABS樹脂製、1991年発売。キャップ火薬のデトネーター方式ブローバック。発売当時の価格は14,800円

 

ハドソン製US M3A1グリースガン用カートリッジ。10×26mmサイズのワンピース構造。デトネーターが太めなので、ケース部の肉厚は割りと薄め

 

 

TEXT:くろがね ゆう/アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2024年11月号に掲載されたものです。

 

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