【実銃】プライベートレンジで実射した「B&T SPR300」の実力

 

近距離特化のスナイパーライフル

 

 B&T SPR300は法執行機関のスナイパー向けに、限りなく静かな発射音と高い携帯性を実現すべく開発された。今回はそのライフルの実射レポートを公開し、その魅力をお伝えしよう。

 

B&T SPR300についてはこちら

 


 

 

実射でその高い能力の一端を知る

 

 .300AAC Blackoutには一般的な小銃弾であるスーパーソニック弾(超音速:弾頭スピードが音速を超える)に加えサブソニック弾(亜音速:弾頭重量を上げ弾頭スピードが音速を超えず、サプレッサーの消音効果を高め貫通力も向上)があるのも特徴で、根強い人気の要因のひとつになっている。弾頭は音速を超える際に衝撃波とそれに伴う大音響を発生させるが、亜音速ならば衝撃波は発生せずサプレッサーの消音効果をより高めることができるというわけだ。今回の実射では通常の精度テストに加えこの2種類の弾薬を用意し、それぞれの違いを探ってみることにした。
 ただし、読者の皆様には申し訳ないのだが、米カリフォルニア州で施行された新レギュレーションによる弾薬購入時の手続きがらみで、種類によってはガンショップで入手できるアモが限られ、用意できたのはスーパーソニック弾がFIOCCHIの150グレインFMJ BT(1,925ftps)、サブソニック弾がSPR300のオーナーであるエレンのロードによる220グレイン TMJ(950ftps)の2種類のみ。また、使用するプライベートレンジが小ぶりなため少々短めの75ヤード(最長距離)でのテストとなっている。
 今回のSPR300はまったくの新品なので、まずはサイトインからスタートする。スコープはVORTEXのVIPER PST 5-25×50mmである。また、サプレッサー装着時の音量計測には、参考までにスマートフォンのアプリである“Decibel X”を使用した。正確さを求めるなら複数のサウンドメーターを多方向からセットアップし、反射音を除いた音源を綿密に精査するべきだろうが、まあ目安だと思っていただければ幸いである。

 

今回、どうにか用意できた2種類の.300AAC Blackout。写真左が220グレイン TMJ(サブソニック)、写真右がFIOCCHI 150グレイン FMJBT(スーパーソニック)

 

相性の良い弾頭との組み合わせで実力を発揮

 

 今回のテストでは、各アモについて「75ヤードから5発の集弾性能」「サプレッサー装着時と脱着時の着弾点の変化」「サプレッサー装着時と脱着時の音量の変化」について計測してみた。
 SPR300の撃ち心地はスウィートだ。リコイルは5.56mmよりややきつい程度でしかない。特にサブソニック弾では220グレインという重量級弾頭ながら、サプレッサーを装着しているとマズルライズはほとんど感じられない。

 だが、テストをしているとどうしても精度的に理解不可能な結果が出てしまう。1インチ以下の集弾を見せたFIOCCHI 150グレインFMJ BTが、突如2インチ以上に散らばってしまうのだ。オーナーのエレン・ダンストによると「両方のアモで似たような症状が起きるから、スコープの不良かもしれないね。今度は精度に定評のあるシエラの弾頭を使って、いくつかのリロードを作ってテストしてみよう」ということで、精度テストは後日やり直し、ということになった。

 

オーナーであるエレン・ダンストの安定した射撃ポジション。B&Tの高品質・高精度に敬意を表して、この5-25×50mmスコープを搭載したと話していたが、少々トップヘビー&オーバーキルの感がある。バイポッドは可動部分がスムーズ過ぎて、やや落ち着かない。各部を締め上げて、もう少し抵抗が掛かるようにチューンすれば使いやすくなりそうだ

 

サプレッサー付きの射撃ではイヤープロテクションの必要性はまったく感じない。“Decibel X”の計測ではスーパーソニックで133.9デシベル、サブソニックでは122.6デシベルまで減音されていた。サブソニック弾の122.6デシベルというのは、ハリウッド映画でよく見られるサイレンサー付きの銃が出すような音量でしかない

 

サプレッサーを外して撃つ。“Decibel X”の計測ではスーパーソニックでは167.8デシベル、サブソニックでも160.2デシベルを記録した

 

FIOCCHI 150グレイン FMJBT(スーパーソニック)におけるターゲット。9点近辺の5発がサプレッサー付き、7点圏の5発がサプレッサーなしのグループだ。この辺りから少々着弾が散ってきている

 

220グレイン TMJ(サブソニック)のグルーピング。スーパーソニックの方と同じく上5発がサプレッサー付き、左下5発がサプレッサー無しのグルーピングだ。75ヤードで1.5インチほどのグルーピングというのはやや芳しくない

 

 今回のB&T SPR300は、カリフォルニアに住むシビリアン(一般人)である私には合法的に所有できないという理由で、やや遠い存在だ。精度的な結論は今後のテストに委ねられるが、相性のいい弾頭を見つけられれば、300ヤードほどまでは問題ない精度が得られるのではと予感している。
 各部の作り込みにも好感が持てるが、リテールプライスが5,500ドルというのは、考えさせられてしまう額ではある。個人的にはこの.300AAC BlackoutのAR15スタイルセミオートライフルの方に大いなる興味があり、もし州外に移住することができたならこれとSPR300の両方とも手に入れたい! と夢想する今日この頃であった。

 

Text & Photos:Hiro Soga

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年8月号 P.130~137をもとに再編集したものです。

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