2025/09/28
S&Wパフォーマンスセンター スペックシリーズV M&P 9メタル HD【動画あり】

2005年に発表されたスミスアンドウェッソンのM&Pは2017年にアップデートされ、その後も多くのバリエーションが作られている。2020年に発売されたスペックシリーズは、M&P9 M2.0の特別仕様にナイフとチャレンジコインをセットにした限定品だ。今回は、2025年1月に発表された同シリーズの最新モデルを紹介しよう。

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S&Wのポリマーフレーム自動拳銃
米国銃器メーカーの老舗であるスミスアンドウェッソン(Smith & Wesson、S&W)は、1990年代前期にオーストリアのグロックに大きく影響を受けたストライカー撃発方式でポリマーフレームのシグマ(Sigma)系や、1990年代後期にドイツのワルサーと提携して完成させたSW99(エスダブリュウナインティナイン)系を経て、2005年に完全自社開発のフルサイズサービスピストルを発表した。これが、かつてLE市場を席捲した同社製モダンリボルバーの原点であるモデル1899“Military & Police”(ミリタリーエンドポリース)にちなんで命名された“M&P”(エムエンピー)だ。S&Wのウェブサイトによれば、その登場から1年以内に100を超える警察機関によって使用されたとのこと。
新生M&Pの銃身長は4.25インチ、口径は当初40S&W/9mm/357SIGであったが、後に45ACPも追加された。9mmを使用するM&P9においては、4.25インチ銃身の17連マガジンがフルサイズの基本モデルであったが、後には4インチ銃身で15連マガジンのコンパクトサイズや5インチ銃身のロングスライドモデル、3.6インチ銃身で12連マガジンのサブコンパクトモデルなども追加されている。2012年にはM&Pのレイアウトを更に小型化し、特に薄さを重視してデザインされたM&Pシールドが登場、2017年にはM&PはアップデートされてM2.0(エムトゥーポイントオウ)となり、操作性が向上した。
2014年のM&Pボディガード380や2018年のM&P 380シールドEZ、2021年のM&P M2.0の10mm版やM&Pシールドの装弾数を増加させたM&Pシールドプラス、2023年のM&P 5.7(5.7×28mm)やM&P 22マグナム(22WMR)など、名称に“M&P”を含む製品は年々増加し、作動方式や撃発方式に違いが認められる場合もある。数え上げればきりがなく、S&WのM&Pは不動のブランドとして確立された。
S&Wのスペックシリーズ
S&Wの製品には、いわゆるカタログ標準モデルのほかに、特定ディストリビューター経由の独占供給モデルや、特別仕様の限定品なども存在する。スペックシリーズもそのひとつで、特別仕様の銃とそのイメージが刻まれたチャレンジコイン(記念メダル)、そしてナイフなどを大きめのケースに同封したキットの製品名だ。本リポートの主役であるスペックシリーズV(ヴィー)M&P9(エムエンピーナイン)メタルHD(エイチディー)はその最新モデルで、2025年のSHOTショー開催期間中に収録されたインタビューの中でS&W関係者は、製品名に含まれる「V」はスペックシリーズの5番目を意味する、とコメントしている。
正直なところ、それまでのスペックシリーズについてはノーマークだったので、これを機にその来歴を調べようとしたのだが、S&Wのウェブサイトにはスペックシリーズ第1弾に関する情報はなく、同社製品を網羅しているかに思えた専門書“STANDARD CATALOG OF SMITH & WESSON”の最新第5版にも該当する情報はない。
AI検索でも大した情報は出てこないが、根気よく調べてたどり着いた画像や記述によれば、スペックシリーズ第1弾は5インチ銃身を備えたロングスライドのM&P9 M2.0で、前後のサイトはトリチウムランプ入りのナイトサイト、標準17連マガジン2本に加えてパラコードハンドルのネックナイフと、この銃がレリーフされたチャレンジコインのセットのようだ。SKU(管理単位)番号は11313もしくは13113で、UPC(商品識別コード)は022188883428、S&Wがこれを発表したのは2020年4月7日であることまでは突きとめたが、残念ながらMSRP(メーカー希望小売価格)はわからなかった。
スペックシリーズ第2弾は2021年6月16日に発表されたM&P9 M2.0のオプティックレディ仕様フルサイズで、FDE仕上げのスライドとブラックのポリマーフレームからなる2トーンカラーや、ネジ付き延長4.6インチ銃身が特徴だ。クリムゾントレイス社(Crimson Trace)のダットサイト“CTS-1500”が同梱されるほか、フィクストブレイドのブーツナイフとチャレンジコインが付属する。MSRPは917ドルであった。
スペックシリーズ第3弾は2022年7月27日に発表された延長ネジ付き4.6インチ銃身を備えたM&P9 M2.0コンパクトのオプティックレディ仕様で、スライドとポリマーフレームはグレーのセラコート仕上げ、標準15連マガジンに加えて2本の延長23連マガジン、フォールディングナイフとチャレンジコインが付属する。MSRPは799ドルであった。
スペックシリーズ第4弾は2023年11月28日に発表されたパフォーマンスセンターのM&P9メタルM2.0で、スライドとアルミ合金製フレームはODグリーンのセラコート仕上げ、延長ネジ付き4.8インチ銃身にファクソン社(Faxon Firearms)のコンペンセイターが装着されているなどの特徴をもつ。マガジンは標準17連と延長23連が2本ずつ、カランビットスタイルのナイフとチャレンジコインが同封され、MSRPは999ドルであった。


