こんにちは。「編集者&ライターときどき作家」の服部夏生と申します。
　肩書きそのままに、いろいろな仕事をさせていただいていますが、ホビージャパン社からは、主に刃物に関するムックや書籍を出させていただいております。
　そんなご縁もあり「刃物専門編集者」として、アームズウェブであれこれ紹介させていただこうと思います。

 

名作のリファイン版モデル 『FULL CONTACT ’25』

 

　前回、ご紹介したように、KIKU KNIVESとホビージャパンとのコラボナイフ『FULL CONTACT ’25』のプロジェクトが始動した。

 

 

　いよいよ、12月5日（木）に、一般販売が開始となる。

 

 

 

名作のリファインモデルは手に取るだけで至福!!

　前回は、デザイン決定までのプロセスだったが、今回は完成した時のお話を、書籍『刃物の街・関から世界へ　ナイフ作家・松田菊男』から、編集の上、引用させていただこう。

 

◆

 

「これ、どうや？」
 　そう言って手渡されたナイフを見て、思わず声が出た。

「格好いいです」
 　あまりにも平凡な形容だが、それしか出てこなかった。

 　なんとか別の言葉で自分の感動を表したかったが、手にとって眺めていくことだけで手いっぱいで、それ以上のことを考える余裕は頭の中には残っていなかった。

 

「そうか、よかった」
 　こちらの気持ちが通じたのか、松田菊男が嬉しそうな顔になった。

 　傍らで緊張した顔でこちらをうかがっていた美紀もほっとした顔になった。

「図面からちょっと変わっていますよね。それ、どう感じられるかなと思っていたんです」

「ああ。イメージより細身でシャープになりましたね。僕はこっちの方が断然、いいと思います。オリジナルモデルのイメージも踏襲しつつモダンになったように感じますし」
 　ようやく言葉が出てきた。　

「そうか、じゃあこれで進めようか」
 　そう語る松田は。デザインの勉強をしたことがないという。

　だが、毎日鋼材を削りながら、より良いシルエットを追求し続けたことで得た「理」が、机上での学びのみでは得られない「説得力」を持って人を魅了せしめるという真理を目の当たりにすることができた。

 

 

「仕事で使うプロフェッショナルのためにつくることも多い。けどな、うちのナイフを買ってくれる方たちは、皆が皆、使っているわけではないと思うんや。キクナイフは、道具でありながら、ファンタジーとして楽しめる要素も盛り込んでいるからな。人に向けたりせず、安全に使うことだけ守ってくれたら、どう楽しんでもらってもいい。もちろん、送ってきてもらえたら、メンテナンスもできる限りやるよ。

　うちのナイフを手にすることで皆が喜んでくれる。そうしたら俺は嬉しくなって、またもっとええのをつくりたくなる。その繰り返しよ」

 　あれ、俺これ前にも話したな、松田はそう言いながら、照れ隠しのように自作の最新ナイフをもう一度、手に取った。

 　人に喜んでもらえるものを、つくる。

 　シンプル極まりない松田の言葉は、キクナイフというひとつの企業だけでなく、刃物業界をも超え、「ものづくり」の関わる人すべてにとっての道標になるかもしれない。

 　うん、いいナイフだと思うわ。お前が喜んでくれたしな。

 　そういうと松田は満面の笑顔を浮かべた。

 

 

◆

 

　役得で試作品を商品撮影が始まるまでの数日間、ずっとそばに置いておいた。
　そして折に触れて手に取り、さまざまな角度から見た。

　至福の時間だった。

　削り、用途、デザイン。それぞれに実にさまざまな要素が盛り込まれている。
　それらの一つひとつを微に入り細に入り眺めるのが、まず、楽しい。

　だが、すっと目を離して眺めると「てんこ盛り」感はすっと消え失せて、スマートなシルエットと滑らかな削り面の連続が目につく。

　品がいいのである。

　格好いい。本当に、格好いい。

 

　結局、その言葉に集約されるマスターピースである。

 

KIKU KNIVES × HOBBY JAPAN『FULL CONTACT ’25』

 

【商品詳細】
全長：280mm
刃長：148mm
刃厚：約6.0mm
重量：約360g
ブレード材：OU-31
価格：￥80,000（税込）
専用シース付属

限定品
 
お求めは、こちらから。

 

https://hobbythepeople.shop/items/6731ce27e6c05c043606b610

 

＊ナイフはルールを守って安全に使用しましょう。

 

 

 

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